2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20760139
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
河南 治 University of Hyogo, 工学研究科, 助教 (20382260)
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Keywords | 沸騰伝熱促進 / 濡れ性制御 / 自己組織化 / 酸化チタンナノチューブ |
Research Abstract |
まず、水熱合成法によって生成した二酸化チタンナノチューブの表面の水酸基を足場に、様々なシランカップリング剤を用いて、ナノチューブ表面に自己組織化を構築し、任意の液体に対して紫外線を照射せずに濡れ性制御が可能となった。具体的には、純水・NaOH水溶液・硝酸水溶液に対して、0°(超親水性)から130°(撥水性)の濡れ角を任意に制御できることが明らかになった。続いて、酸化チタンナノチューブ膜を形成した銅伝熱面においてプール沸騰実験を実施し、限界熱流束が平滑面の約1.4倍に増大することを確認した。また、自己組織化膜を表面に構築した酸化チタンナノチューブを成膜した撥水性表面では、低過熱度域での伝熱促進効果が顕著に表れた。さらに、超親水性膜、撥水性膜ともに熱伝達が約1.5倍増大し、本手法が限界熱流束増大のみでなく、熱伝達促進を同時に実現できることが明らかとなった。さま、酸化チタンナノチューブ膜を伝熱面に形成する際、酸化チタンナノチューブペーストの粘度などを調整することで、沸騰に対して耐久性のある酸化チタンナノチューブ膜の生成に成功した。具体的には、20回以上のバーンアウトに対して、前述の限界熱流束増大および熱伝達率促進の性能を維持できることができた。 次に、伝熱面の濡れ性制御の異なるアプローチとして、チオール自己組織化膜を銅伝熱面表面に構築し、親水性(濡れ角:30°)・疎水性(100°)・通常銅伝熱面(85°)にて、下向き伝熱面にてプール沸騰実験を行った。その結果、親水性伝熱面では発生した気泡は、周期的に離脱を繰り返したが、疎水性伝熱面および通常銅伝熱面では、気泡はほとんど離脱することがなく、高い伝熱性能を示した。また、親水性・疎水性伝熱面の濡れ性は、沸騰実験前後で変化無く、自己組織化による濡れ性制御技術が沸騰伝熱に適用できることが、初めて明らかとなった。
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