2008 Fiscal Year Annual Research Report
蒸気前駆物質を用いた蛍光ナノ粒子の気相燃焼合成と粒子サイズ制御に関する研究
Project/Area Number |
20760140
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
横森 剛 Keio University, 理工学部, 講師 (90453539)
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Keywords | 燃焼合成 / 気体燃焼 / 蛍光 / ナノ粒子 / TEM / XRD / 拡散火炎 / 減圧 |
Research Abstract |
本研究では、蒸気前駆物質を用いた気相燃焼合成法により蛍光発光特性を有するナノ粒子を合成し、その粒子サイズ制御法について検討を行った。本年度は研究実施の初年度に該当し、合成手法の確立と粒子サイズ制御法の模索に重点を置いて研究を実施した。合成試験は、昨年度の若手研究(スタートアップ)にて作成した装置を利用した。合成する粒子は、近赤外励起・可視蛍光の特徴を持つY_2O_3 : Yb, Erとし、前駆物質にはY(C_<11>H_<19>O_2)_3、Yb(C_<11>H_<19>O_2)_3、Er(C_<11>H_<19>O_2)_3の混合蒸気を使用した。気相燃焼には、メタン・酸素同軸二重円管拡散火炎を用い、燃料のメタンを窒素希釈することで燃焼温度を2400〜3000Kの範囲で制御した。合成された粒子に対しては、TEMによる形状観察、XRDによる結晶構造分析、半導体レーザ(波長 : 980nm)励起による蛍光分光測定を行った。 結果として、前駆物質蒸気濃度が低いと、合成される粒子のサイズは小さくなり、また、燃焼温度が低い場合にも粒子サイズは小さくなることが明らかとなった。さらに、前駆物質蒸気濃度・燃焼温度と粒子サイズの関係について系統的に整理し、これら2つの合成条件による粒子サイズの制御法を確立した。また、合成容器全体を減圧する機構を組み込み、合成場(燃焼場)圧力を変化が合成粒子にどのような影響を与えるかについても検討した。その結果、合成場圧力が低下すると合成粒子サイズも小さくなり、今回の試験では、粒子径を5nm程度まで微小化することに成功した。粒子の結晶構造は、燃焼温度が高温(>2750K)であれば単斜晶となり、低温(<2750K)の場合には立方晶となることが明らかとなった。蛍光発光特性は、粒子サイズに関わらず波長600nm付近の赤色発光を示すが、粒子サイズの微小化に伴い発効強度が低下することが確認された。
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