2009 Fiscal Year Annual Research Report
蒸気前駆物質を用いた蛍光ナノ粒子の気相燃焼合成と粒子サイズ制御に関する研究
Project/Area Number |
20760140
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
横森 剛 Keio University, 理工学部, 専任講師 (90453539)
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Keywords | 燃焼合成 / 気体燃焼 / 蛍光 / ナノ粒子 / TEM / XRD / 拡散火炎 / 減圧 |
Research Abstract |
本研究においては、蒸気前駆物質を用いた気相燃焼合成法により蛍光発光を有するナノ粒子の合成を行い、粒子サイズ制御及び蛍光発光特性向上の点から合成条件について検討を加えた。昨年度までの実績を踏まえ,本年度は,様々な蛍光材料に対する広範囲な粒子サイズの制御,蛍光発光強度の向上を目指した合成条件の最適化に重点を置いて研究を実施した合成試験には、昨年度までと同様の装置を使用することに加え,比較的大きなサイズ(数百nm)のナノ粒子を合成するための新たなスプレー式気相燃焼合成装置を作成・使用した.気相燃焼には、メタン・酸素又は水素・酸素同軸二重円管拡散火炎を用い、燃料を窒素希釈することで燃焼温度を1500~3000Kの範囲で制御した。合成された粒子に対しては、TEMによる形状観察、XRDによる結晶構造分析、蛍光分光光度計による蛍光発光スペクトルの測定を行った。 結果として、前駆物質濃度を変化させることにより合成される粒子のサイズを任意に変化させることが可能であり,特に蒸気前駆物質による合成では5nm~100nm程度のサイズ範囲の粒子を,スプレー気相燃焼合成法では100nm~1μm程度のサイズ範囲の粒子を容易に合成できることが分かった.また,燃焼時の火炎温度の相違によって合成粒子の結晶構造は変化し,その結晶構造に応じて蛍光発光スペクトルも変化するため,高蛍光発光強度を得るための最適な燃焼合成条件は蛍光材料の種類によって異なることが明らかとなった.尚,今回の研究ではY_2O_3:Yb,Er,Y_2O_3:Eu,Y_2O_3:Tb,及びGd_2O_3:Euの4種類の蛍光粒子について合成を行い,母体がY_2O_3の場合は添加剤の種類(Eu,Tb等)によらず約3050K,Gd_2O_3の場合は約1730Kの火炎温度を使用した際に最も良好な蛍光発光輝度が得られた.このことから,蛍光発光強度には,合成時の火炎温度に起因する母体の結晶構造が強く影響を与えていると考えられる.
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