Research Abstract |
はじめに, フェムト秒レーザ加工による非対称表面の最適化について検証した. レーザ加工により非対称表面を得るためには, レーザを加工表面に対して斜め方向からレーザを照射する必要がある. この場合, 加工表面に対するレーザの入射角や照射時間, 重畳回数の調整が必要となる. 本研究では, フェムト秒レーザ・ダブルパルス加工を用いて1種類, シングルパルスの斜め照射加工を用いて2種類の加工表面を開発した. これら3種類の加工表面について, パーツフィーダ用表面としての適用可能性を検証した. はじめに, 表面に形成された周期構造の非対称性を検証した. ここでは, 各非対称表面の断面形状を, 原子間力顕微鏡による画像の解析を通して数値モデル化し, それらの近似モデルを導出した. これらの解析により, フェムト秒レーザの斜め照射による表面が非対称形状を有していることがわかった. 次に, ダブルパルス加工表面のトライボロジ特性を明らかにした. 特に, 加工表面に正負方向を設定し, それぞれの方向に沿ったトライボロジ特性を検証した. 表面性測定機をもちいた計測試験では, 正負方向で摩擦係数の違いが見られた. 微小物体の摩擦角計測においては, 湿度によらず摩擦非対称性がみられた. これらの実験により, 本研究で開発した3種類の表面が, 非対称な摩擦特性を有していることがわかった. 次に, これらの表面を用いて微小物体の輸送実験を行った. その結果, すべての表面で一方向輸送が実現された. その一方で, 最高輸送速度が表面によって異なることがわった. また, ダブルパルス加工表面を用いた場合には, 駆動条件によっては逆方向輸送が実現できることがわかった. これらは, 表面性状の違いを利用することにより. 輸送速度や輸送方向を制御できることを示唆している.
|