2008 Fiscal Year Annual Research Report
文化的環境に低侵襲なバリアフリーの実現のための移動支援ロボットに関する研究
Project/Area Number |
20760157
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菅原 雄介 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 助教 (60373031)
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Keywords | ロボティクス / バリアフリー / 車いす / 文化財 |
Research Abstract |
本研究は, バリアフリーの整備が十分になされておらず車いす利用者の入場が不可能なものも多い歴史的建造物や史跡・景勝地において, 景観保護やオーセンティシティの維持に配慮し文化財を傷つけることなく車いす利用者が健常者と同じ経路で観賞することを可能にする人間搭乗型移動支援機器の開発を行うことにより, 環境を改変することなく利用できるバリアフリー技術を提案するものである. 平成20年度は, コンセプトと要求仕様の検討, 機構の考案と運動学的解析, 力学的解析を行った. 仕様設計の結果,「一般に木造である日本の歴史的建造物を破損しないよう接地圧が通常人間が通行する場合と同程度であること, また段鼻に集中荷重をかけないこと」, 障碍者の利用を考え階段昇降時に静的安定性を確保すること」,「平地走行時の移動効率が実用的なレベルであること」, の3点を要求仕様とした. この仕様を満たす機構として, 楕円軌道状に拘束された複数車輪を用いた形状可変移動機構を考案した. この機構はプーリと一体になった車輪が3輪, 3つのプーリを駆動する1本のベルト,車輪同士を接続し圧縮バネにより伸縮する2本の直動関節によって構成される. この機構は3つの車輪を同期させて回転させるとその形状を維持したまま進行方向に進むが, 3つの車輪の回転量を変えたときは形状が変化する. 特に1つの車輪のみ回転させたとき, その車輪の軸は残り2つの車輪の軸を焦点とする楕円軌道を描く. これにより左右2組の車輪が接地した状態で, 残り1組の車輪は後方から前方に移動することができる. この機構を2つの回転関節を持つ2本の脚により左右に備えた車いすを考案し, その運動学解析と静力学解析を行った. また, 上記と並行して, 姫路城(兵庫県, 国宝・ユネスコ世界文化遺産), 善光寺(長野県, 国宝), 白石城(宮城県)の予備調査を行った.
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