2008 Fiscal Year Annual Research Report
下肢運動障害者の歩行補助ロボットにおける転倒予防制御に関する研究
Project/Area Number |
20760165
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
香川 高弘 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 助教 (30445457)
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Keywords | ウェアラブルロボティクス / 歩行再建 / 重心位置推定 |
Research Abstract |
本年度における第1の成果は, 歩行中の転倒リスクを定量的に評価する指標である身体の重心位置と速度に関する条件から, 歩行補助ロボットの歩行パターン生成アルゴリズムを開発したことである. 本手法では, 重心位置と股関節位置がほぼ同じであることに着目し, 歩行時に足が床面から離れる瞬間の股関節位置と速度を経由点として, 躍度最小軌道によって股関節軌道を生成する. また, 爪先の軌道についても床面と接触しないように経由点を設定して軌道を生成する. 本手法を用いて下肢麻痺者による動作試験を実施し, 転倒することなくスムーズに歩行できることを確かめた. 第2の成果は、歩行中の重心位置を高い精度で推定するために, 姿勢と床反力の計測に基づいて各身体部位の質量と重心位置に関連するパラメータ値を推定するアルゴリズムを開発したことである. 本手法では, 静止中の圧力中心が重心の鉛直投影点が一致することと重心加速度と身体質量の積が床反力と一致することを利用して, 個々の身体部位質量や重心位置に適合したパラメータを推定することで精度よく重心位置を算出する手法である. 5名の被験者に対して重心位置の推定精度を検証し, 4種類のすべての姿勢に対して推定誤差が1cm以下となり, 体重や身長を基に算出する従来の手法よりも精度が高いことが分かった. さらに身体の左右対称性に基づいて, 左右対称な起立動作から推定したパラメータ値から左右非対称なステップ動作に適用する方法を考案し, 起立動作と同様に高い精度でその重心位置を推定できることを示した. 今後、歩行補助ロボットの転倒防止制御のセンシングシステムとして適用していくために, 身体に装着可能な姿勢計測センサと床反力センサの開発を進める予定である.
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