Research Abstract |
自動化が進んだ産業分野においても,手触りの良し悪しや鋼板の面歪検査作業など,未だヒトの手(触覚)が頼りの作業は数多い.本研究では,ヒトの指に装着し触覚情報を計測できるセンサの開発を目的とする.指に装着することで,使用者は現行のままの動作でセンシング可能,センサ駆動用装置を必要とせず導入が容易,リアルタイムセンシングにより直感的に計測箇所や計測値を理解できる,現行と同じ動作であるため目的の触覚情報と深く関係する情報を検出できる可能性が高い,将来的にロボットアームと組み合わせれば自動化にも発展,といった利点がある. 昨年度において,センサ構造や検出原理について検討し,特に,弾性シートを対象面と接触するセンサ底面に介在することで,なぞり動作を行いやすくしたり,凹凸刺激をセンサ底面に増強して伝える効果を得られることがわかった.本年度はこれらを基に,歪ゲージを2枚用いた指装着型のセンサを試作し,リアルタイム信号処理による評価システムを構築した.センサ母体は柔軟なゴムからなっており,シェル構造により曲面にも沿わせやすくなっている.また,底面には,粘性流体が封入された薄いシートが貼られ,ある程度の押しつけ力の変動にはよらず一定のセンサ出力を得ることができる.リアルタイム信号処理では,対象表面をセンサでなぞった際に,微小な凹凸を検出し,その大きさを評価するシステムを構築した.時間周波数解析の一種であるウェーブレット変換を用いて,微小凹凸に対する候補波形を検出し,切り出す.切り出した波形の形状から微小凹凸の有無を判別し,またその波形の振幅値から,凹凸の大きさを評価する.検証実験の結果,高い検出率が得られ,同一の実験者においては,大きさの評価も良好に行えることを確認した.
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