Research Abstract |
本年は,まず,提案した容量結合型電力伝送の受電電力の測定方法の改善を行った.高周波電力計を用い,反射電力と進行電力に分けた測定を行うことで,測定ケーブルへの反射の影響を取り除いた正確な受電電力の測定を行った.その結果,受電電力は29.9mWであり,受電部の位置や向きが変化しても,常に安定した効率が得られることが明らかになった.例えば,伝送距離を10倍程度長くした場合の受電電力については,電磁誘導方式が0.005倍になるに対し,提案する容量結合方式では0.2倍程度となり,減衰率が小さいことを確認した. 次に,NICTが作成したMRIベースの詳細な人体モデル(日本人男性モデル)を用いて,容量結合型電力伝送の効率の見積もりを行った.人体モデルは,腹部組織の電気定数(導電率と比誘電率)は,主な7つの臓器の平均値を用いた.電極面積は,送電部は,縦160cm×横12.5cm,受電部は2cm×1cmとし,受電部は飲み込むことが可能な程度のサイズとしたまた,送電電極に流す電流は,ICNIRPが定めたSAR(Specific Absorption Rate)と誘導電流密度のそれぞれの値を超えない範囲とし,FDTD法を用いて受電電力と伝送効率を求めた.その結果,周波数7MHzにおいて,受電電力は,4.7mW程度であった.数百・W~数mW程度を最大受電電力とする体内埋込式小型医療機器であれば,電力供給できる可能性があることを確認した.また,生体影響が最大となる部位が送電電極と皮膚が接触している部分であることも確認した.
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