2008 Fiscal Year Annual Research Report
薄板電極を用いた水上パルス放電による水中難分解性物質の高効率処理
Project/Area Number |
20760191
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
見市 知昭 Osaka Institute of Technology, 工学部, 講師 (40368139)
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Keywords | 水上パルス放電 / 水処理 / OHラジカル |
Research Abstract |
水上にパルス放電を発生させて水溶液中の酢酸(約450μg)の分解実験を行った。水面に対して垂直に設置した水上の電極には厚さ0.1mmのステンレス薄板を用いた。また、水上の薄板電極と水面の間に供給するガスにはアルゴンを用いた。薄板電極の延べ長さを94mmまたは515mmとして、水溶液中の酢酸の分解を行った結果、94mmに比べて515mmの方が分解量が25%増加することがわかった。1時間処理を行ったときの消費電力量は1.4Whであり、515mmを用いた場合に288μgの酢酸が分解されていた。放電の積分写真より、94mmの時は、各放電路は水面に到達した後、水面を沿う形で進展するのに対し、515mmの時は、放電路は94mmの場合よりも細く、沿面を進展するまでに至っていないことが明らかになった。電極の延べ長さに差があるにも関わらず放電エネルギーがほぼ同じであったことから、以上のような放電の違いが表れ、そのことに起因して処理量に差が出たと考えられる。 水上パルス放電処理を行うと、処理前に比べて処理後の水溶液の量が減少した。これは放電によって水面から水蒸気が発生しているからである。そこで、放電領域中の水蒸気の割合を変化させるために、ガス流量を0.5, 1.0, 3.01/minと変化させて処理実験を行った。電極の延べ長さが515mmのものを用いて処理を行った結果、高流量の方が多く分解できることが明らかになった。流量を0.51/minから3.01/minにすることで、「1時間でリアクターを通過したガスの体積」に対する「排出された水分量」の割合は約41%減少するが、酢酸の分解量は約39%増加するという結果を得た。以上のことから、1パルスあたりの放電エネルギーが0.014J、繰返し周波数が100ppsという本条件では、放電によって発生する水蒸気が処理に大きく影響を与えることがわかった。
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