2009 Fiscal Year Annual Research Report
薄板電極を用いた水上パルス放電による水中難分解性物質の高効率処理
Project/Area Number |
20760191
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
見市 知昭 Osaka Institute of Technology, 工学部, 講師 (40368139)
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Keywords | 水上パルス放電 / 水処理 / OHラジカル |
Research Abstract |
アルゴン(Ar)およびヘリウム(He)を用いて水上パルス放電を発生させて水溶液中の酢酸の分解を行った結果、Heの方が分解量が多くなった。撮影した放電積分写真より、Arの場合は筋状のプラズマが多く存在し、Heは水上の薄板電極と水面との間に斑のないプラズマが存在していることが確認された。また過酸化水素の生成量を測定した結果、Heの方が少ないことがわかった。これらの結果を説明するために以下の考察を行った。Arの場合は、酢酸の分解に寄与するOHラジカル(以下OH)の発生分布に斑があり、OHが高濃度となる領域ではOH同士が結合して過酸化酸素になるため、水処理に利用できる割合が少なくなる。一方でHeの場合はOHの分布が一様であるために再結合する割合が低くなり、水処理に利用できる割合が多くなる。したがって、水上放電を用いて水処理を行う場合、水上に一様なプラズマを発生させることが重要であると考えられる。 次に、薄板電極の長さを94mmおよび415mmとし、Heを用いて流量を変化させて酢酸の分解を行った結果、415mmの場合にのみ流量の増加とともに分解量が大きく増加することが明らかになった。電極415mmは異なる径の同軸の薄板円筒電極が3つあるのに対して(すなわち3層)、94mmは1層の円筒である。またガスは円筒の中心軸から径方向に広がるように流れている。以上のことから、415mmの場合は、最小径円筒電極(第1層)での放電によって生成した過酸化水素や水などの放電生成物がガスとともに第2層、第3層へと到達することで、酢酸分解の妨げになっていると考えられる。そして、流量を増加し放電生成物を速く排出させることで、その影響が小さくなり、分解量が増加したと考えられる。これらのことから、水上放電処理において電極を集中して水上に設置する場合、ガスの経路と流量が重要な要素となることが明らかになった。
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