2008 Fiscal Year Annual Research Report
フラーレン・GaAsヘテロ構造の結晶成長とその応用
Project/Area Number |
20760203
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
西永 慈郎 Waseda University, 理工学術院, 助手 (90454058)
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Keywords | 電気・電子材料 / 薄膜・量子材料 / ナノ表面界面 / 有機半導体デバイス |
Research Abstract |
有機半導体デバイスは軽量や大面積化が容易などの多くの利点を持ち、さらなる発展が期待されている。しかし、結晶成長技術などのデバイス実現に至る要素技術は、無機半導体と比べ未熟である。本研究の目的は、無機半導体で培われた結晶成長技術、その場観察技術を有機材料に応用し、有機半導体高品質化技術を確立すること、フラーレンC60を用いた新規デバイスの創出をすることである。そこで結晶成長法としてMBE法を用い、基板結晶としてGaAsを使用した。本年はGaAs結晶中にC60分子を添加し、その結晶学的特性と電気的特性について鯖力的に調査した。これまでにGaAs結晶中にC60分子をドーピングすると結晶品質を損なうことなく、電子トラップ準位が形成されることわかつており、今回、Eleotrochemical Capaoitance-Voltage(ECV)測定によって、電子トラップ準位より電子が放出されることがわかった。MBE法によりn型GaAs(001)基板上に、基板温度580℃にてn型GaAs層を1um成長し、その後基板温度400℃にて単一分子面のみC60をドーピングし、その後基板温度580℃にてn型GaAs層を1um成長させた。ECV測定により試料のキャリア濃度の深さ方向分布を求めたところ、表面からの深さ0.5umのキャリア濃度はSi濃度と一致するが、深さ0.6umからキャリア濃度が減少し、深さ1.3umにてキャリア濃度のスパイクが現れた。キャリア濃度が減少する理由として、C60ドーピングによって形成された準位に電子がトラップされたためであり、深さ1.3umにて現れるスパイクは、電界が印加されるとトラップから電子が解放されるためといえる。この現象はC60ドーピングによって電子を蓄積・解放できる準位が形成できることを示しており、今後この現象を使用したデバイス製作を図る。
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Research Products
(9 results)