2010 Fiscal Year Annual Research Report
フラーレン・GaAsヘテロ構造の結晶成長とその応用
Project/Area Number |
20760203
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
西永 慈郎 早稲田大学, 高等研究所, 助教 (90454058)
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Keywords | 電気・電子材料 / 薄膜・量子材料 / ナノ表面界面 / 有機半導体デバイス |
Research Abstract |
本研究の目的は、有機半導体にIII-V族化合物半導体で培われた結晶成長・評価技術を応用することによって、C60結晶を用いた有機半導体結晶のカイネティクスのモデル化、C60添加GaAsを用いた新規メモリの開発を行うことである。最終年度である本年度はC60添加GaAsの電気的特性の評価を中心に展開した。AlGaAs結晶はAl濃度を変えることでバンドギャップを制御できる。そこで、AlGaAs結晶中にC60分子を添加し、形成される電子トラップの活性化エネルギーを求めたところ、Al濃度が増えると活性化エネルギーも増大し、真空準位からのエネルギー差がC60分子のLUMOレベルと一致することを確認した。つまりこの電子トラップがC60分子由来であり、III-V族化合物半導体中にて量子ドットとして機能していることがわかる。本研究の成果は、国際会議の招待講演にて発表し、国内学会誌と国際論文雑誌、著書として発表した。次に、C60を一様に添加したGaAs薄膜を作製した。この薄膜はX線回折によって結晶品質が良いことがわかり、電気的特性として低温時に光を照射すると電子濃度が減少し、移動度が飛躍的に向上することがわかった。この特異な特性はGaAs吸収端よりも長波長の光を照射しても確認でき、C60電子トラップ由来であるといえる。この特性のモデルとして、光照射下にて、C60電子トラップに電子が励起され、さらにその電子がGaAsの伝導帯に励起され、残留ドナーを補償し、電子の移動度が向上すると考えられ、C60分子が中間レベルとして機能していることを示唆している。有機薄膜の結晶成長として、GaAs結晶上にCuフタロシアニン(CuPc)薄膜を成長させ、As極性面上にはCuPc分子が垂直に配向するが、Ga極性面上にはCuPc分子が水平に配列し、GaAs表面再構成上に、周期的に配列することがわかった。
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Research Products
(21 results)