2008 Fiscal Year Annual Research Report
時間分解光音響法による有機半導体のエネルギー失活過程に関する基礎研究
Project/Area Number |
20760206
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Research Institution | Takuma National College of Technology |
Principal Investigator |
森宗 太一郎 Takuma National College of Technology, 電子工学科, 助教 (30455167)
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Keywords | organic / photo acoustic / thin film |
Research Abstract |
本研究では有機受光素子の高速応答化に向けた熱失活過程の解析を行うために、駆動時において発生する熱失活過程の時間的変化を観測可能にする測定技術について検討している。素子の応答特性は光電流に寄与する電荷の移動速度により制限されるため、電荷移動中のトラップにより発生する熱失活過程の時間的変化を短パルスレーザー光と圧電素子を用いることによって観測できる測定システムの確立を行っている。今年度はガラス基板上に成膜した有機薄膜内部で発生する熱エネルギーが有機薄膜を介して伝搬する弾性波を圧電素子により観測する方法とその解析法について検討した。 試料には受光素子用材料として期待されているPCBM(フラーレン誘導体の一種)を使用し、ガラス基板上に100nm程度の均一な膜を成膜したものを用意した。その一端に圧電素子を密着させて圧電素子から離れた部分に半値幅がnsec程度の短パルスレーザー光を照射した時、有機膜の熱伸縮により発生する弾性波を圧電素子によって観測した。測定に高感度な圧電素子(アコースティックエミッションセンサ)と高速増幅アンプを使用することで100nm程度の膜厚試料で発生する微小信号を観測可能となった。 照射光パルス幅は短いほどデルタ関数に近い為、様々な周波数成分を有する弾性波を一度に励起したことになる。この励起超音波の内、音響インピーダンスの熱失活間で共振した周波数成分が選択的に残るため、この共振周波数から熱失活過程を算出できる。本実験では25kHzと150kHzの周波数帯において有機薄膜の膜厚に対する相対的変化を確認できたことから、有機薄膜の音響インピーダンスに共振した熱失活の時間的変化の観測に成功したと考えている。
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Research Products
(12 results)