2008 Fiscal Year Annual Research Report
パルススパッタ堆積法による単結晶薄膜で形成されたFBARの作製
Project/Area Number |
20760209
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井上 茂 The University of Tokyo, 生産技術研究所, 特任助教 (10470113)
|
Keywords | 結晶成長 / FBAR |
Research Abstract |
パルススパッタ堆積(PSD)法を用いてSi(111)基板上およびSi(110)基板上にAINの成長を行ったところ、いずれもAIN(0001)面のシャープな反射高速電子回折(RHEED)像が得られ、エピタキシャル成長が確認された。Si(110)基板とAIN(0001)薄膜の電子後方散乱回折(EBSD)測定結果から、面内配向関係はAIN[10-10]//Si[001]であり、AINバッファー層とSi[001]方向の格子不整が0.7%と小さくなる配向が実現されていることが分かった。また、AIN<10-12>EBSD極点図が明瞭な6回回転対称性を持つことから、30度回転ドメインの無い良質なAIN結晶が成長していることが確かめられた。 Si(111)基板上に成長したAIN薄膜には引張り応力に起因してクラックの発生が確認された。そこでクラック抑制のために AIN/GaN超格子構造の導入を検討した。AIN/GaN超格子を10ペア挿入したところ、クラックは抑制されることが分かった。一方、Si(110)上に関しては、格子不整が小さいことに起因して、超格子バッファーのあるなしに関わらずクラックの発生はなかった。 この超格子バッファー上に成長したGaNの評価をX線回折により行ったところ、超格子に起因する明瞭なサテライトピークが確認され、作製した超格子構造は急峻な界面を有することが確かめられた。また、GaN0002およびGaN10-12回折のロッキングカーブ半値幅はそれぞれ0.39°、0.52°であり、良好な結晶性を有する薄膜が成長していることが分かった。 以上の結果から、パルススパッタ堆積法によりSi基板上にクラックフリーAINの成長を実現し、単結晶で構成されたFBARを作製する基本的な手法を確立した。
|