2009 Fiscal Year Annual Research Report
パルススパッタ堆積法による単結晶薄膜で形成されたFBARの作製
Project/Area Number |
20760209
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井上 茂 The University of Tokyo, 生産技術研究所, 特任助教 (10470113)
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Keywords | 結晶成長 / FBAR |
Research Abstract |
パルススパッタ堆積(PSD)法を用いて(100),(111),(110)の面方位を有する各Mo基板上へHfNバリア層の成長を行った。Mo(100)基板上へHfNの成長を行った結果、HfN(100)のエピタキシャル成長した。一方、Mo(111)基板上へHfNの成長を行った場合には、120°回転した3つの等価なドメインが、HfN<100>軸をMo(111)面から20°傾けて成長していることが分かった。Mo(111)の原子密度が低いことから表面エネルギーが高くなり不安定な面であることに起因していると考えられる。続いて、Mo(110)基板上へHfNを成長した場合には、HfN(111)がエピタキシャル成長した。ウルツ鉱構造であるAlNやGaNの(0001)面を成長するには、対称性の観点からHfN(111)/Mo(110)が適している。実際、700℃においてGaNの成長を行ったところ、GaN(0001)のエピタキシャル成長を実現した。このとき、GaN表面へのHfやMoの拡散は見られなかったことから、HfNが拡散バリア層として機能していることが分かった。 また、単結晶金属基板上へのAlNなどのIII族窒化物エピタキシャル成長の実現には結晶成長初期過程の理解が重要となる。これまでにRh(111)上へAlGaN(0001)のエピタキシャル成長を実現しているが、結晶成長初期過程のメカニズムは不明であった。N、Al、Gaの3原子について、Rh(111)基板上の対称性の高い4つのサイト(on top, bridge, fcc hollow, hcp hollow)への吸着エネルギーを第一原理計算により求めた。その結果、窒素がhcp hollowに吸着する場合が最安定であり、AlGaN薄膜の第一層が窒素で構成されると考えられる。この窒素を第一層とした場合の面内配向関係は実験結果と一致することが分かった。
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