2008 Fiscal Year Annual Research Report
3次元積層型人工網膜チップ向け非接触インターフェースの開発
Project/Area Number |
20760214
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
清山 浩司 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 教育研究支援者 (60412722)
|
Keywords | 体内埋め込み医療器 / 人工網膜チップ / 無線電力供給・データ伝送 / 電流モード / ASK復調回路 |
Research Abstract |
平成20年度は、クランプ電流を用いた電流モード復調回路の基本設計、TSMC社CMOSテクノロジを利用したプロトタイプLSIの試作を行った。本研究では、体内埋め込み回路の動作に必要なエネルギを電磁波から電力に変換し利用するシステムを対象にした技術である。本研究の研究期間は2年を計画しており、(1)クランプ電流をデータ通信の信号に用いた電流モード復調回路、(2)動作環境に応じて供給電力を最適値に調整する回路を人工網膜チップに実現することを目標としている。 研究対象の電流モード復調回路は、ASK(Amplitude Shift Keying)を用いて変調波から安定的な電力とデータを同時に得るため、電圧制限回路に流れる電流を利用した信号検出を行う。電圧制限回路は眼球運動等によって体内外のアンテナ間距離が狭くなった時、チップに過大電圧がかからないようにチップ耐圧を保護する回路である。通常動作時、電圧制限回路にクランプ電流が流れ、チップの電圧は一定電圧に保たれる。電圧制限回路は、ダイオード接続MOSFETにより構成される。MOSFETのV_<GS>-I_<DS>特性から電圧制限回路に流れるクランプ電流の変化は順方向バイアス電圧の2乗で変化する。クランプ電流を復調信号に使用することによりフェージング等の外乱、ノイズの影響を受けた場合においても電圧モード復調回路よりS/Nの向上が可能となる。設計を行った電流モード復調回路は、全波整流回路、電圧制限回路、クランプ電流検出用カレントミラー、参照電流生成回路および電流比較回路である。復調回路は、参照電流生成回路において生成されるクランプ電流振幅の2分の1のDC電流とクランプ電流との比較を行い、1ビットの復調信号を出力する。シミュレーションの結果、搬送波の周波数13.56MHz、データレート106kbpsにおいてASK変調波の変調度が4%においてもデータ復調が可能である事を確認した。
|