2009 Fiscal Year Annual Research Report
ナノCMOSを用いた無線通信用アナログ・デジタル混載LSI設計技術の研究
Project/Area Number |
20760216
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Research Institution | Musashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
傘 昊 Musashi Institute of Technology, 知識工学部, 准教授 (30400774)
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Keywords | 集積回路 / 混載LSI / ナノCMOS / 無線通信 / AD変換器 / ΔΣ変調器 / アナログ集積回路 / デジタル信号処理 |
Research Abstract |
本研究では、通信用のアナログとデジタルが混載するシステムLSIの高性能化を実現するために、最先端のナノCMOSを用いた高精度、低消費電力のAD変換回路の実現を目指している。本年度では、研究計画に沿って、高精度・低消費電力の複素バンドパスΔΣAD変調器について研究開発を行った。(1)複素AD変換回路のアーキテクチャの確認と検証を行った。特にLSIチップを実現する際に、必ず生じてしまう複素信号経路のミスマッチに注目し、その影響による性能劣化を軽減できる新しい回路構成を提案した。簡潔かつ低消費電力な回路で非理想特性の影響を軽減できるとの特徴がある。システム・レベルのシミュレーションで提案構成の有効性を確認した。国内・国外で特許出願を行い、国際学会MWSCASで研究成果の発表を行った。(2)提案した新しい回路構成手法の有効性をLSIチップで実証するために、LSIチップ試作に向けて調査と準備を行った。LSIチップで提案手法の実証可能性を最優先し、ファンダリの試作スケジュールと費用の面も含めて考慮した結果、TSMC社が提供する0.18um CMOSプロセスで試作を行うことに決定した。プロセス・パラメータの入手とLSI設計ツール整備を行った。(3)複素AD変換回路の要素クロック回路のLSIチップ試作を行った。具体的には、ΔΣADC回路で必要不可欠な構成ブロックである比較器回路、DAC回路、タイミング発生回路の回路構成を決定し、トランジスタ・レベルで各要素回路の詳細設計を行った。SPICEシミュレーションでその動作と性能確認を行った上、ハードウェアを実現するための回路レアイアウト設計も行った。各種の設計照合と詳細検証の上、ファンダリを通して実際のLSIチップ試作を行った。入手した試作LSIチップの実測・評価を行い、設計・試作した要素回路の機能と基本動作の確認ができた。また、いくつか改善できる項目も明確にでき、研究の完成度を上げるために、貴重な実測データが得られた。
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