2010 Fiscal Year Annual Research Report
ナノCMOSを用いた無線通信用アナログ・デジタル混載LSI設計技術の研究
Project/Area Number |
20760216
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
傘 昊 東京都市大学, 知識工学部, 准教授 (30400774)
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Keywords | 集積回路 / 混載LSI / ナノCMOS / 無線通信 / AD変換器 / ΔΣ変調器 / アナログ集積回路 / デジタル信号処理 |
Research Abstract |
本研究では、通信用のアナログとデジタルが混載するシステムLSIの高性能化を実現するために、最先端のナノCMOSを用いた高精度、低消費電力のAD変換回路の実現を目指している。本年度は3年間の実施計画の最終年度であり、過去2年間の研究内容に基づき、研究計画に沿って、高精度・低消費電力の複素バンドパスΔΣAD変調器に関する研究を遂行しながら、研究成果のまとめも行った。(1)前年度試作したLSIチップに搭載した要素回路の測定・評価を行い、各要素回路の性能を明らかにした。測定結果に基づき、改善すべき項目を明確にし、一部修正回路の再設計を含め、ランジスタ・レベルで要素回路の詳細設計を行った。SPICEにシミュレーションで設計した回路の動作と性能確認を行った。要素回路の設計手法と実測結果を含んだ研究成果を学術雑誌に投稿し、掲載する事となった。(2)複素AD変換回路の全体回路の設計を行った。特に低消費電力を実現するために、微細CMOSに適した低電源電圧、小さいバイアス電流条件での回路動作回路動作と性能確認を行い、すべての回路設計を完了した。(3)本研究で提案した回路構成手法の有効性を実証するために、LSIチップ試作の準備を行った。低消費電力かつ高速動作可能な微細CMOSで性能評価を行うため、TSMC社が提供する90mm CMOSプロセスで試作を行うことと決定した。全体回路のレアイアウト設計を行い、各回路構成素子及びチップ内配線の検証を行った。微細CMOSでLSIチップ試作を行うため、ファンダリの製造スケジュールの都合で、今年度中にチップの実測評価は出来なかったが、シミュレーション検証では、低消費電力で高いAD変換精度が得られることを確認できた。継続研究で実測評価を行う予定。(4)研究遂行の途中で大信号入力に適応できるΔΣADCの新しい構成手法を提案し、学会発表を行った。継続研究ではこの研究内容を発展していく予定。
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