2009 Fiscal Year Annual Research Report
情報理論的に安全な暗号システムを実現するための理論的研究
Project/Area Number |
20760236
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
岩本 貢 The University of Electro-Communications, 大学院・情報システム学研究科, 助教 (50377016)
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Keywords | 暗号 / 情報セキュリティ / 情報理論的暗号理論 / 秘密分散法 / 不正検出 / 仮説検定 |
Research Abstract |
昨年度提案した「なりすましを検知する秘密分散法」(Cheating-Detectable Secret Sharing Scheme, CDSSS)に関して,シャノン理論的な観点からより精密な解析を行った.2009年度は共著で2件の国際会議発表を行い,論文投稿へ向けて議論を行った.得られたより具体的な成果としては ・ 非漸近的な秘密分散法を構成要素としたときのCDSSSの一般的な枠組みの整理 ・ CDSSSにおける情報源(秘密情報)のクラスの一般化 などがある.本研究により,暗号文のレート(平文1ビットに対する暗号文のビット数)と不正検知の性能には関係があること,および,その関係において相互情報量が本質的な役割を果たすことが,シャノン理論の観点から厳密に明らかになった. 視覚復号型秘密分散法においては,次の方式を提案した. ・ 回転に対して異なる画像が復号できる方式,特に,任意の回転角度に対する拡張 ・ 画像をずらして重ねると異なる画像が復号される方式 どちらも通常の代数的な暗号システムにはない,画像の性質を積極的に使った暗号方式として,興味深い応用がある可能性がある. それ以外に,PUF-HBに対する新しい中間者攻撃法を議論した.中間者攻撃では,プロトコルで通信中のデータの一部(中間情報)を取得・改ざんすることで攻撃を行う,本研究では攻撃法の提案に加えて,攻撃対象の中間情報が仮に取得できない場合には,攻撃者に必要とされるメモリサイズが極めて大きくなることを,情報理論的な手法で明らかにした.この事実は,提案する攻撃で対象にしている中間情報がプロトコルにおいて本質的に脆弱な部分であることを意味している.
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