2008 Fiscal Year Annual Research Report
ダイナミックモード原子間力顕微鏡におけるカンチレバーの非線形振動制御
Project/Area Number |
20760238
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山末 耕平 Kyoto University, 工学研究科, 助教 (70467455)
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Keywords | 非線形動力学 / 走査プローブ顕微鏡 / 制御工学 / 表面・界面物性 / マイクロ・ナノデバイス / 振動制御 / カオス制御 / 時間遅れフィードバック制御 |
Research Abstract |
ダイナミックモード原子間力顕微鏡におけるカンチレバーのアクチュエーションは、典型的には、カンチレバーの支持部付近に取り付けられている圧電素子に電圧を印加し、変位を発生させることにより行われる. しかしながら, フィードバック制御の観点からみた場合, このような機構で, 所望の制御入力をカンチレバーに力として作用させることは現実的ではない. このため, 本研究では, カンチレバーに, 直接, 力を作用させられるアクチュエーション技術として磁場励振法の適用を行った. また, これにあわせて市販装置の改造を行い, カンチレバ己変位検出系の広帯域化も進めた. その結果, 励振スペクトルにおける不要応答が抑制され, フィードバック制御に必要な帯域を得ることが可能になった. この成果により, 時間遅れフィードバック制御則に基づくコントローラの実機への適用が初めて可能となった. これを受け, 試作コントローラを市販のダイナミックモード原子間力顕微鏡に実装し, 研究目的の一つであるカンチレバーに生じる不規則振動の安定化を初めて実験的に確認できた. 本成果は, 時間遅れフィードバック制御を適用することで, 非線形領域において, 従来より, 安定な試料走査が実現可能であることを示唆している. また, 本成果は, 非線形動力学分野で蓄積された知見や手法がナノスケール計測・評価技術の高性能化に貢献する可能性を明らかにしており, 同分野の新たな応用領域を具体的に見出したという意味で意義が大きい.
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Research Products
(3 results)