2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20760242
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
藤田 八郎 Tokyo Metropolitan University, システムデザイン研究科, 助教 (30431795)
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Keywords | 量子暗号 / 誤り訂正 |
Research Abstract |
高い安全性を持つ量子暗号は次世代の暗号方式として産学官で研究開発が進んでいる. 現在, 商用化の一歩手前といったところであるが, 解決すべき課題も少なくない. その1つに量子暗号の鍵生成レートの改善がある. 量子暗号の無条件安全性の証明にはいくつかのアプローチがあるが, 中でもShor & PreskillのCalderbank-Shor-Steane(CSS)符号(量子誤り訂正符号の1クラス)を用いた証明法は最も簡明で分かりやすい. 彼らは, CSS符号を用いたエンタングルメント純粋化プロトコルがBennett-Brasard 1984プロトコル(BB84, 代表的な準備測定型プロトコル, 量子コンピュータは不要)に還元できることを示した. CSS符号よりも効率的な量子誤り訂正符号を使えばより効率的な量子暗号を構成できるが, CSS符号以外の符号を用いると準備測定型のプロトコルに還元できない(量子コンピュータの使用が不可避)と考えられていた. 量子誤り訂正符号には様々な符号のクラスが存在するが, CSS符号に近いクラスに拡張CSS符号がある. 拡張CSS符号はCSS符号と類似の構造, 性質を持ち, 漸近的にCSS符号よりも効率が良いことが示されている. 本研究の目的は, Shor & Preskillの安全性証明を拡張CSS符号のクラスにまで拡張し, 安全性を損なうことなく量子暗号の効率(鍵生成レート)を改善することである. 平成20年度は主に拡張CSS符号を用いた量子暗号の準備測定型プロトコルへの還元可能性について検討した. 検討の結果, ある仮定の下で安全性を損なわずに準備測定型プロトコルへ還元できることが証明できた. なお, この仮定は非現実的なものではなく, 従来のBB84プロトコルと組み合わせることで取り除くことも可能である.
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