2009 Fiscal Year Annual Research Report
十分統計量に着目した情報源および通信路に対するユニバーサル符号の理論解析と設計
Project/Area Number |
20760250
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Research Institution | Shonan Institute of Technology |
Principal Investigator |
有村 光晴 Shonan Institute of Technology, 工学部, 講師 (80313427)
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Keywords | 無歪みデータ圧縮 / 十分統計量 / 情報源符号化 / VF符号 / タンストール符号 / 一般情報源 / 可算アルファベット |
Research Abstract |
ある情報源符号化アルゴリズムが,与えられた確率的な情報源のクラス全体に対して,それぞれの情報源の理論的な圧縮限界を漸近的に達成できるとき,このアルゴリズムはその情報源クラスに対してユニバーサルであると言う.本課題では,対象とする情報源を定常無記憶情報源やマルコフ情報源などに決め打ちして性能評価を行なうのではなく,十分統計量の概念を用いてそれぞれのアルゴリズムが適した情報源クラスを探すという解析を行なうことで,対象とするデータにより適した圧縮アルゴリズムの設計法を構築することを目標としている. 本年度の研究では,主にユニバーサルでないVF(可変長データ・固定長符号語)符号について解析を行なった. まず,VF符号の一種であるタンストール符号についてその符号語長の解析を理論・実験の両面から行なった.特に,これまでのタンストール符号の平均符号語長の評価においては,(固定された)符号語長をブロック長の期待値で割った値の評価が行なわれているが,これはFV(固定長データ・可変長符号語)符号の解析に用いられている符号語長の期待値をブロック長で割った物とは一般に互換性が無い.そこで本研究では,FV符号とVF符号の両者に適用可能な,符号語長をブロック長で割ったもの全体に対する期待値の評価を行ない.定常無記憶情報源においては2種類の期待値が同じ値となることを証明した. 次に,可算無限アルファベットに対して適用可能なVF符号を新しく提案し,その圧縮特性を理論的に解析した.このとき,情報源に対して定常性やエルゴード性などを一切仮定しない一般情報源と呼ばれる情報源クラスを対象として設計を行なったので,実際に圧縮されるデータについて定常性やエルゴード性などを一切仮定する必要が無く,アルゴリズムに適した情報源クラスを自由に設定することが可能となった.また,これまで存在しなかった可算無限アルファベットに対するVF符号の存在が理論的に明らかになったので,アルファベットサイズによらないアルゴリズムの設計が可能となった.
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