2009 Fiscal Year Annual Research Report
アクティブRFIDを用いた屋内センサのための電波伝搬シミュレータの開発
Project/Area Number |
20760251
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
松岡 剛志 Kyushu Sangyo University, 工学部, 准教授 (40325551)
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Keywords | 電波伝搬実験 / 電波伝搬シミュレーション / 媒質の電気定数 |
Research Abstract |
本研究の目的は、アクティブ型RFIDシステムを建物内に導入する際の基となる建物内電波伝搬環境を推定できる実用的な電波伝搬シミュレータを開発することである。この目的を達成するために、本年度は、(1)複雑な伝搬環境に対する電波伝搬計算プログラムの有効性の評価および(2)円筒空間定在波による電気定数測定法の評価、を行った。 (1) の課題について、まずシミュレータの基となる解析手法、CIP法について、計算過程に高次の近似を適用した改良手法を昨年度提案した。その手法の電波伝搬問題に対する有効性について、電波伝搬特性を、特に長距離伝搬で評価した。その結果、昨年度同様、メモリ使用量は従来のM型CIP法と同等であるにも関わらず、CIP法固有の優れた位相特性はそのままで、振幅特性が改善された。次にこの手法を誘電体板による散乱問題にも適用し、厳密解と比較した結果非常に良く一致した。誘電率が高くなるとやや特性は悪くなるが、損失性媒質であれば、その影響は小さくなることを示した。さらにこの手法を複雑な屋内モデルでの電波伝搬解析に適用した。その結果、屋内スケールモデルによる電波伝搬実験結果と一致する結果が得られ、改良前のCIP法よりも振幅特性が改善していることを示した。 (2) の課題について、アクリル板について円筒空間定在波を用いた電気定数測定を行った。その結果、昨年度のべークライトと同様に参照解である同軸プローブ法の結果とほぼ同等の結果を示し、本手法の有効性を示した。さらにこの誘電率測定法の制度を調べるために、理論解析値に乱数で雑音を付加した値を測定値として誘電率を評価し、その評価値の分布について検討した。その結果、我々の実験のSN比は22~25dB前後であることがわかった。誘電率の実部の評価値は平均値から5%程度の範囲内に入ることを確認した。
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