2008 Fiscal Year Annual Research Report
票の買収や強要に耐性を有した電子投票に関する研究・開発
Project/Area Number |
20760253
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
中里 純二 National Institute of Information and Communications Technology, 情報セキュリティ研究センターセキュリティ基盤グループ, 有期研究員 (60435782)
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Keywords | 電子投票 / 匿名認証 |
Research Abstract |
今年度は,主要な研究会において調査研究を行った.また,最終年度において研究成果を開発・評価を行うための実験環境の構築を行った.多くの電子投票方式では,投票者の認証と投票とが個別に考えられており,本研究の目的である,認証から投票までを考慮した電子投票方式は非常に有用である事が分かった. 本研究でもまず始めに,電子投票において非常に重要になる認証方式について検討を行った.特に,匿名性を担保しつつ利用者(有用者)を認証する必要があるため,ID(利用者を特定できる情報)を用いる事無くパスワードのみで利用者の認証が可能な,匿名パスワード認証方式の提案を行った.提案方式では,投票に参加する利用者がサーバに登録されたパスワードを正しく知っているかを,IDを明かす事無く認証する事が可能である.従来の方式では,利用者はサーバの保持しているデータベースのどの位置に自分が登録されているかを知る必要があったが,提案方式ではパスワードと組となる画像(知識)によりその位置を利用者本人のみが特定可能な仕組みを取り入れた.本方式ではパスワードと画像情報を利用する事で二重の認証となり,利用者の負担を最小限にしながら安全性も向上したと考えられる.試験実装の結果から3,000人程度の認証であれば,実用に耐え得る時間内で処理が完了する事が分かった.この事により,大規模選挙に用いる場合等は選挙区などにより,ある程度グループ分けを行う必要がある事がわかった.今後は画像(知識)を用いた認証方式を導入した事による安全性の評価や,利用者への負担等評価を行う必要があると考える. 今後,本方式を資格情報が譲渡不能な資格認証方式と組み合わせる事で,認証された投票者のみが最終的な投票を実行可能な電子投票方式へと発展させる.また,今年度構築した実験環境を用いた実装・評価を行い,実用的な電子投票システムへと発展させる予定である.
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