Research Abstract |
本研究は, これまでに行ってきた研究成果を背景とし, 植物生体電位計測システムの充実および, 植物の生理活性状態モニタリングシステムを開発することで, 植物工場で栽培される植物の最適環境条件の評価はもちろん, 品質管理や安全性の評価に応用可能なシステムの開発を目的としている。 本年度は, 光合成との生体電位との関係を明らかにするため, 二酸化炭素測定システムを導入し, 点滅光照射時の生体電位応答および光合成速度の評価を行った。その結果, 様々な点滅周期の光に対し, 生体電位は敏感な応答を示すとともに, 点滅周期によって電位応答および光合成速度が変化することが明らかとなった。電位応答と光合成速度との間には, 0.9程度と比較的高い相関があることから, 植物特有であり重要な生理活動である光合成の活性状態を, 電位応答測定によって把握することが可能であることを示した。また, 広範囲での測定や部位による違いなど, 複数の電位を測定可能にするため多チャンネルシステムを作製した。このシステムを用いることによって, 測定効率が向上することはもちろん, 植物の情報伝達機構の解明にも寄与できると考えられる。今後は, 光照射に対する基礎的な植物の生体電位データの収集を続けることはもちろん, 植物生体電位の解釈や利用方法の充実に向けて適切な情報処理手法について検討し提案していく。さらに, 植物工場での実際の利用を考慮し, 本システムの実用性, 安全性, 品質評価を他手法と比較し, 検討していく予定である。
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