2008 Fiscal Year Annual Research Report
社会ネットワークを考慮した、ゲームの数理モデリングと協力行動の解析
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20760258
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
増田 直紀 The University of Tokyo, 大学院・情報理工学系研究科, 准教授 (40415295)
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Keywords | ネットワーク / 囚人のジレンマ / 進化ゲーム / ゲーム理論 / マルチエージェントシステム |
Research Abstract |
本年度は、ネットワークの形、参加コストの有無、個体の行動力の差などに加えて、得られた利得に基づいて個体がどの他の個体の行動様式を真似するかという更新ルールが、ゲームのダイナミクスに大きな影響を及ぼすことを明らかにした。この更新ルールによる差は次数が一様なネットワークでも見られることが知られている。また、現実世界によく見られるような次数が非一様なネットワーク(例:スケールフリー・ネットワーク)において、その傾向はより顕著であるという予備的な数値計算結果を得た。上記と平行して、ゲームの利得行列が非常に単純でジレンマがない場合についてのネットワーク上の集団ダイナミクスを詳しく調べた。具体的には、ダイグラフ(枝に方向がついているグラフ)上のダイナミクスを解析した。各頂点(個人)vは、AまたはBの状態をとる。Vは、自分の上流にいる反対の状態(意見、戦略などと見なせる)を持つの頂点が多いと、自分の状態を変更しやすい。固定確率とは、最終的にネットワーク全体が状態Aになる確率である。方向無しのネットワークでは、あるvのみがAである状況から出発する固定確率は、vの次数で書かれる。しかし、ダイグラフでは、vの次数だけでなくネットワークの大域構造が固定確率に大きく影響することを示した。このことを状態AとBに優劣差がない場合については一般的に示した。状態AとBに優劣差があってよりゲーム的状況に近い場合については、数値計算と単純なグラフの解析を行った。 また、ネットワークの生成モデルの数学的解析と、ネットワーク上の興奮系ダイナミクスの解析も多少行った。これらは、ネットワーク上のゲームダイナミクスを構築・理解するための補助的成果、と位置づけられる。
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