Research Abstract |
非線形システム, とりわけ多項式システムに対する制御系設計の方法を検討した. 多項式システムにおいて, 線形システムに見られるような状態空間表現は一意ではない. そこで, 制御系設計を二段階に分けて行う方法を提案した. まず, 与えられた適当な擬似状態空間表現の多項式システムに対して, 安定性を保証するリアプノフ関数とコントローラを行列二乗和の方法と線形行列不等式を用いて決定する. つぎに, 得られたリアプノフ変数に定数倍の自由度を持たせ, 同時に擬似状態空間表現の自由度6を利用して, その定数と擬似状態空間の自由度を決定する. このとき, 新しいコントローラも得られる, この方法により, 最適制御問題に対しては, 性能を落とさずに制御入力を小さくでき, 入力および状態拘束をもつ多項式システムの安定化については, 不変集合を大きくすることが可能になった. つまり, システムを安定化できる状態空間上での領域が増えたことになる. 設計を二段階として性能を高めるために, 多項式行列の零化イデアルを必要とした. これは, いわゆる消去補題の応用であり, 従来用いられていた線形行列の零化イデアルを拡張して, 設計の保守性を減らすことが可能となる. 幸いなことに, この零化イデアルは線形の連立方程式を解くことで容易に得られ, しかも線形行列不等式とも同時に解くことが可能である. したがって, 二度目の設計によって, 適切な擬似状態空間の自由度とコントローラを同時に得ることができるようになった. このことは, 多項式システムの制御系設計にとって, 一つの進歩であると考えられる.
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