Research Abstract |
世界有数の地震工学の知見を我が国は有しており,構造物の地震時挙動推定技術も高いレベルにある.一方,構造物の大規模化・複雑化・輻輳化,既存施設の老朽化などによる大地震に対する新たな脆弱性が懸念されており,構造物の地震時挙動推定技術のより一層の高度化が重要と指摘されている.上記を踏まえ,「大規模・複雑な既存・新設構造物及び構造物群の地震時挙動推定手法の高度化」を本研究の目的とする.具体的には,断層の破壊過程設定(シナリオ),地殻・地盤の三次元モデル,構造物の三次元モデルを用いて,「断層から構造物までの三次元数値解析モデルを計算機上に構築し,断層の破壊過程・地殻内の地震波伝播・複雑な構造物の動的挙動の一連の過程を高い精度で数値解析する」を可能とする数値振動台の基盤技術を開発する.本研究課題は,構造物の地震時挙動推定技術の高度化及び耐震改修効果の定量的把握などにより,大地震が懸念される国内重要構造物の耐震性向上に資するだけでなく,日本発の技術として世界の地震災害地域への貢献が期待される. 本研究は,1)階層型解析を用いた効率的な解析手法の構築,2)断層から地表面までの大規模波動場解析手法の開発,3)階層型解析手法を踏まえた地表面近傍の地盤と構造物の大規模解析手法の開発からなる.前年度までに開発した1)~3)の手法を組み合わせ,システムを組み上げた.また,実地殻構造及びシナリオ断層設定を用い,大規模構造物の地震時挙動解析を行い,本手法の検証を行うとともに,有効性を示した.さらに,このような解析では大規模波動場解析の精度向上及び地殻構造の高精度化が重要であるため,そのための研究も行った.
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