橋梁-列車連成振動解析とソフトコンピューティング手法を用いた鉄道高架橋の損傷推定

2008 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 20760307
• Research Institution: Hokkaido University
• Principal Investigator: 何 興文 Hokkaido University, 大学院・工学研究科, 助教 (20454605)
• Keywords: 鉄道橋 / 健全度評価 / 連成振動解析 / ソフトコンピューティング / 遺伝的アルゴリズム / ニューラルネットワーク / ヘルスモニタリング / 構造同定

Research Abstract

本研究は, 列車走行による高架橋の振動応答により, 橋梁の損傷部位およびその程度の推定を目的としする。目的を実現するために,橋梁-走行列車連成振動解析手法とソフトコンピューティング理論を用い, 実測応答から逆解析により構造の損傷を同定する方法ではなく, 想定し得る損傷パターンを入力して順解析により構造応答を計算し, これを実測値と比較することにより損傷パターンを特定する。
報告者は, これまで平面2自由度から立体15自由度までの振動系列車モデルを構築し, 現地実測値と比較しながら三次元高架橋モデルとの連成振動解析手法を開発した。昨年度は,まずこの手法を損傷推定アルゴリズムに適用できるように拡張し, 実橋梁の諸元に基づく単純支持高架橋モデルおよび面内振動のみ考慮する2自由度平面列車モデルを用いる基本的な損傷推定アルゴリズムを構築した。
また, 膨大な計算コストを要する振動解析を回避するために, 入出力を対応づける学習によって構造応答を同定できるニューラルネットワーク(NN), および部材損傷パターンの同定に用いる最適化手法である遺伝的アルゴリズム(GA)の構築も試みた。さらに, 本研究のNNの学習およびGA最適化において, 橋梁の損傷パターンを適切に設定することは, 推定手法の精度および実用性に大いに影響すると予想している。あり得る損傷パターンの効率的な設定および損傷推定精度を確保するために, 事前に実際の新幹線高架橋の損傷箇所・程度を調査し, またそのような損傷による橋梁動的応答の変化傾向に対する把握も行った。
上述研究成果は, 本研究で目指している健全度評価手法を確立するための基礎となる。