2010 Fiscal Year Annual Research Report
線状対流系の発生・維持機構に着目した集中豪雨制御のフィージビリティに関する研究
Project/Area Number |
20760321
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
鈴木 善晴 法政大学, デザイン工学部, 准教授 (80344901)
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Keywords | 線状対流系 / 集中豪雨 / 気象制御 / メソ気象モデル / 数値実験 |
Research Abstract |
近年,地球温暖化に起因すると思われる異常気象災害が地球規模で年々深刻になりつつある.このまま現在の温暖化傾向が継続・進展した場合,従来の安全基準で整備された都市社会システムにおいて豪雨による被害がさらに拡大するであろうことは容易に想像される.そこで本研究では,メソ気象モデルを用いた数値実験をベースとして,近未来における集中豪雨制御の実現可能性ついて検討を行う. 本年度は,前年度に引き続きモデルの改良を行うとともに,シーディング(ドライアイス等の散布)や他の気象力学的気象制御手法による人為的変化が降水システムの発達過程にどのような影響を与え,どの程度の豪雨抑制効果を持つのか,また,どのようなメカニズムやプロセスで降水量の変化をもたらすのかなどについて検討を行った.具体的には,線状対流系を中心とする様々な豪雨事例を対象として,氷晶核数の操作等を行う領域や高度,時刻などの各条件を段階的に変化させる感度分析を行い,降水分布や積雲の発生状況,積算降水量の領域平均値や領域最大値などの変化を解析することで,人為的な気象操作が豪雨の発生・発達に対してどのような影響を与えるのかについて検討した. その結果,対象事例によって影響の生じ方は大きく異なるものの,線状対流系や局地性豪雨など特定の降水システムに対しては,人為的操作を実施する条件次第で,顕著な豪雨抑制効果を持つことが確認された.特に,積算降水量の領域平均値はあまり変化せずに領域最大値が顕著に減少するケースが多数確認されたことから,降水の総量は変化せずとも,降水が分散してその集中度が低下することで豪雨が緩和される場合があることなどが示された.また,現段階では降水抑制の詳細なメカニズムは明らかとなっていないが,様々な事例や条件について感度分析を行った結果から,豪雨抑制効果が得られやすい人為的操作の条件について一定の知見を得ることができた.
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Research Products
(7 results)