2008 Fiscal Year Annual Research Report
沿岸漂砂の連続性と河口閉塞対策を両立する新しい漂砂制御技術の開発
Project/Area Number |
20760322
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田島 芳満 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 准教授 (20420242)
|
Keywords | 漂砂制御 / 海岸侵食 / 河口閉塞 / 循環流 |
Research Abstract |
本研究では、中小河川河口部などの比較的小規模な沿岸漂砂の遮断地点を対象に、砕波や河川流、潮汐流などの自然営力を有効活用しながら沿岸漂砂の連続性を維持し、かつ、出水時の排水効率を減退させない漂砂制御技術の考案を目指す。 まず静岡県馬込川における現地観測を実施し、河口域の特徴的な地形上を遡上する砕波とそれに伴う循環流場の計測を試みた。まず水面に浮かべた木片をトレーサーとして用い、連続静止画像で追跡した。個々の静止画像から色情報を用いてトレーサー位置を自動抽出するモデルを構築した。さらに抽出したトレーサーの画像上の位置から、新たに構築した座標変換手法に基づき、実際の平面座標系におけるトレーサーの動きを推定した。 次に、波・流れ場の三次元構造を明らかにするために、2次元水槽(既有)の一部に人工リーフを設置し、様々な波形勾配を有する規則波を入射させた実験を行った。ここでレーザーシートを用いて水平方向にレーザーを照射し、水槽上部から高速カメラを用いてレーザー照射面の高速連続画像を撮影した。得られた連続画像からPTV法を用いて任意平面内の流速分布を計測した。 最後に、現地観測や室内実験で観測した波・流れ場を再現するための準三次波・流れモデルの開発を行った。モデルは, (1)波浪モデル, (2)海浜流モデル, (3)漂砂量+地形変化モデルの3つのサブモデルに分類され、研究開始初年度にあたる平成20年度には、波浪・海浜流モデルの構築を実施した。波浪モデルは非定常緩勾配方程式に基づき、構造物と比較的強い流れ場が存在する条件下への適用性を担保した。また海浜流モデルでは, 二次元の乱流・戻り流れモデルを三次元に拡張し, 戻り流れとRadiation応力と大規模渦に起因する海浜沿岸流を同時に算定するモデルを構築した。平成21年度にはモデルの妥当性を検証するとともに、漂砂モデルを新たに構築・導入する。
|