2009 Fiscal Year Annual Research Report
沿岸漂砂の連続性と河口閉塞対策を両立する新しい漂砂制御技術の開発
Project/Area Number |
20760322
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田島 芳満 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 准教授 (20420242)
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Keywords | 漂砂制御 / 河口 / 循環流 / 砕波 / 質量輸送 / 潜堤 / 大規模渦 |
Research Abstract |
本研究では河口部などのような沿岸漂砂の遮断地点を対象とし、砕波や河川流、潮汐流などの自然営力を有効活用しながら沿岸漂砂の連続性を維持し、かつ、出水時の排水効率を減退させない漂砂制御技術を開発することを最終目的としていた。研究の実施にあたり、最も重要な技術的・学術的要素としては、浅瀬を形成した場合における循環流場を精度良く予測し、自然に発生する循環流を有効活用した漂砂移動システムを最適にデザインすることにあった。 そこで本研究では、まず、馬込川における現地観測と平行して潜堤を用いた室内実験を実施し、潜堤周辺における水位変動や主に背後に形成される循環流場を、従来の計測システムに加えて新たに画像計測システムを構築して適用し、より広域で詳細で高解像度な波・流れ場の計測を実施した。これにより、潜堤の設置位置や大きさ、入射波の波高や周期などの条件によって循環流場のパターンが大きく変動することが分かった。 次にこのような循環流場を再現可能な数値モデルの構築を新たに実施した。従来の海浜流場の算定モデルでは、断面平均した平均流速成分のみの計算を行うため、潜堤上を砕波しながら大量に水塊を岸側へと輸送する物理現象が考慮されておらず、これによって実験で観察した循環流場を再現することができなかった。そこで本研究では、水深を波の谷の高さで2分割し、上下の層のそれぞれに対して支配方程式を連立させる準三次元海浜流モデルを構築し、特に上層の支配方程式中には砕波や砕波によって生じる大規模渦による質量輸送や水平応力変化の影響を陽的に考慮した。また本研究で構築した準三次元海浜流モデルでは、水平流速の鉛直方向分布が詳細に捉えられるため、二次元水槽を用いた詳細実験も同時に行い、構築した画像計測システムによる計測結果を用いながらモデルの精緻化を試みた。これにより、潜堤周辺における循環流場の算定精度が飛躍的に向上した。
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