Research Abstract |
課題2 堆積した粘着性土の浸食特性と空隙率の時間変化 本課題は,昨年度に引き続き,さらに検討を進めた.粘着性土としては,カオリンのみの場合だけでなく,カオリンと非粘着性土の混合率も変化させ,河床材料及び給砂材料として使用した.また,給砂量も平衡給砂量を最大値として,給砂ゼロの状態まで数種の給砂条件で実験を行った.その結果,粘着性土の浸食速度は流砂量の増加とともに増えるのではなく,給砂量が平衡給砂量に近い状態では,河床近傍の流砂及び水の流速が遅くなるため,河床は浸食されないことが明らかとなった. 課題3 非粘着性土・粘着性土共存場における流路・河床形態 インドネシア国セサヤップ川の河岸の上層は,粘着性土で構成されているが,河岸の下層は非粘着性土で構成されている.このように河岸の浸食特性が空間的に変化しているな場を想定して,河岸浸食モデルを構築した.さらに,昨年度までに開発していた一般座標系の平面二次元河床変動解析モデルを移動一般座標系の平面二次元モデルに拡張し,河岸浸食モデルを組み込んだ.河岸浸食過程の数値解析結果によると、最初は河岸の浸食が非常に遅い.しかし,途中から,河岸の浸食速度が急激に速くなっている.これは,最初は,河岸下層の非粘着性土が流れに露出していなかったため,浸食が抑制されており,その後は,下層の非粘着性土が流れに露出し,浸食速度が速くなったためである.つまり,河岸の浸食特性の空間的な変化は,河岸浸食速度の急激な変化をもたらすため,浸食速度が予測できず,防災対策が間に合わない事例が発生しやすいことが明らかとなった。
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