2008 Fiscal Year Annual Research Report
河川感潮域における底泥の堆積プロセス及び強度発現メカニズムの解明
Project/Area Number |
20760334
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
横山 勝英 Tokyo Metropolitan University, 都市環境科学研究科, 准教授 (10347271)
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Keywords | 高濁度水塊 / SS / 底泥 / 回転粘度 / ベーン剪断強度 / 含水比 / 二次流 / 堆積 |
Research Abstract |
河川感潮域において治水と環境管理を両立するためには, 地形と底質の形成過程を解明し, 予測する技術が必要である. 河川感潮域では洪水時の土砂移動現象と平常時の潮汐流による土砂輸送現象が生じ, それらによって地形と底質の状態が規定される. 本研究は潮汐流に起因する地形・底質形成メカニズムを解明することを目的として,(1)高濁度水塊の運動特性に関する調査研究と(2)底泥の堆積過程に関する調査研究を実施した. 調査地点は筑後川河口から14km上流の横断面である. (1)1潮汐にわたって塩分, SS, 流速の横断分布を詳細に計測した結果, 河川蛇行の影響で湾曲部の2次流が生じ, それによってSSが内岸側に輸送されていた. 内岸側では流速が低下するためSS粒子が沈降しやすく, 底面に沈殿層を形成していた。沈殿層の厚さをラウス分布により解析したところ最大で1mに達しており, 1潮汐での正味堆積量は0.2mであった. 横断面内の輸送フラックスを計算し1潮汐の正味輸送量を求めたところ, 湾曲の外岸側では土砂輸送が河口に向かっており, 内岸側では上流に向かっており, 全断面積分値としては上流側に向いていた。以上より, 高濁度水塊が遡上する際に湾曲の内岸側にSS粒子が堆積しやすいことが示された. (2)全長1〜2mの底泥コアを1年間に4回採取した. コアは自然堆積状態の粘度と攪拌後粘度を計測しこれをベーン剪断強度に変換し, 含水比と粒度分布も分析した. その結果, 底泥は単位時間あたりの堆積量が多いほどベーン剪断強度が増加することが分かった. 攪拌後のベーンせん断強度は比較的分散が小さいが, 自然堆積状態は含水比が低下するほど分布範囲が広くなっており, 含水比が低下する過程で粒子間結合が大幅に強化されると推察された. 砂分の含有率が数%違うだけで粒子間結合の進行が阻害され, せん断強度を得にくいことが推定された.
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