2009 Fiscal Year Annual Research Report
地域貿易協定ネットワークと国際産業立地に関する研究
Project/Area Number |
20760337
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
織田澤 利守 Tohoku University, 大学院・情報科学研究科, 准教授 (30374987)
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Keywords | 土木計面 / 地域貿易協定 / ネットワーク形成ゲーム / 産業立地 |
Research Abstract |
本研究では,空間を明示的に考慮した国際貿易の一般均衡フレームワークを用い,国際産業立地パターンと自由貿易協定締結の意思決定を同時に考慮しうるモデルを構築し,FTAネットワーク形成メカニズム及び実現する均衡解の特性を明らかにした.平成20年度に開発した基本モデルにおいては,輸送費用が小さい場合や非対称的な国を想定した場合に複数の均衡ネットワークが存在することがわかった.また,集積外部性を考慮したモデルに発展させた場合,産業立地に関して複数均衡が存在すること知られている.しかし,起こりうる均衡のうち,いずれの均衡が実現するのか,あるいはその可能性が高いか(均衡選択問題)については全く明らかにされていない.そのような問題意識から,平成21年度は均衡選択問題を解決し得る枠組みについて重点的に検討を行った. 具体的には,交易ネットワークを与件とした,集積外部性が働く2地域経済を想定した.その上で,企業の立地選択に関する確率的なゆらぎを導入した産業立地モデルを作成し,長期的に実現する均衡を確率的に予測できる枠組みを提案した.さらに,数値解析により,確定論的モデルにおいて複数均衡が存在する場合でも,人口規模が小さい地域や交通アクセスの悪い地域に集積が起こる均衡パターンは長期的にはほぼ起こらないことを示した.この枠組みは,多地域モデルやネットワーク形成を内生化したモデルにも理論的には拡張可能である.今後は,より一般化したネットワーク形成ゲームモデルにおいて,同様の分析を引き続き行う予定である。
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Research Products
(4 results)