2008 Fiscal Year Annual Research Report
交通システムの時間信頼性評価値に関する理論・実証研究
Project/Area Number |
20760341
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
福田 大輔 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 准教授 (70334539)
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Keywords | 自動車交通 / 所要時間信頼性 / 費用便益分析 / スケジューリングモデル / ノンパラメトリック統計解析 / ETCデータ |
Research Abstract |
本研究では, 自動車交通における所要時間定刻性向上の経済評価に必要とされる時間信頼性価値(VTTV : Value of Travel Time Variability)の推計方法の開発を行った. まず, 所要時間が出発時刻に応じてランダムに変動する不確実性下でのドライバーの出発時刻選択行動を記述するミクロ経済学モデルを構築した. 次に, 開発した手法の実適用可能性を検証するため, 高速道路のETC(Electronic Toll Collection)システムから得られた所要時間のデータを用いて, 理論モデルの実適用に必要となる前提条件が成立しているかどうかを検証すると共に, 節約時間価値(VTT : Value of Travel Time)に対するVTTVの比率(Reliability Ratio)を算出した. 最後に, 提案した方法を用いてドライバーの総コストの変化値を算出し, 施策実施前後における所要時間定刻性向上の経済便益の試算を行った. 1点目の具体成果として, 正規化所要時間分布等の確率線が時刻に対して概ねなだらかな並行に近い曲線となっており, 基準化所要時間と出発時刻の独立性の仮定が成立する事が確認された. 2点目に, 所要時間の平均と標準偏差は似た形状を示し, 両者には正の相関関係を持つことが示唆された. これより, 3点目に, 所要時間の平均的な長さやその変動は, 交通インフラの整備や施策の実施, あるいは交通量そのものの変化に応じて変わり得るが, その所要時問を正規化した基準化所要時間の分布形状は比較的安定しており, その分布形状の特性は, 右側の裾が厚く, 左側の裾には下限値が存在する. すなわち, 実際の基準化所要時間分布は, 従来の多くの研究が想定してきた正規分布のような左右対称の分布とは形状が大きく異なり非対称の分布である, という知見が得られた.
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Research Products
(4 results)