Research Abstract |
本年度は, 団塊の世代に着目し, 鉄道経路選択行動の時系列変化を分析した. 具体的には, 年齢階層別にデータが整備されている1990年以降の大都市交通センサスの個票データを用いて鉄道経路選択行動分析を行った. まず, 対象とした13年齢階層(2000年は10年齢階層)×4時点(1990年, 1995年, 2000年, 2005年)のOD別の実選択経路および代替経路の所要時間, 運賃, 乗換え回数, アクセス時間, イグレス時間といったサービスレベルデータの整備を行った. ここでは, 経路選択が可能で利用者の多いODとなるように, また, できる限りすべての時代, 年代において同一のODとなるように, 対象とするODパターンを設定した. 次に, 5年齢階層(20歳代〜60歳代)×4時点に集計し, そのデータを用いて, 実選択経路の所要時間や乗換え回数の平均, 標準偏差等が, 時代の変化, 年齢階層の差により, どのような違いがあるかを整理した. 時代, 年代によって, 所要時間も乗換え回数も差は見られたが, 様々な要因が混じりあっていることから, 単純な規則性がないことを明らかにした. またその知見を踏まえ, 各時代, 各年代の鉄道経路選択行動モデル構築し, そのパラメータ推定結果より, 時間評価値や乗換えに対する抵抗等が, 時代変化とともに, また, 加齢とともにどのように変化してきたのかを明らかにした. 以上の分析結果より, 来年度に実施予定の「東京都市圏を対象とした需要推計」に用いる年齢階層別の鉄道経路選択モデルを決定している.
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