2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20760355
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
伊藤 歩 岩手大学, 工学研究科, 准教授 (90312511)
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Keywords | 下水消化汚泥 / 無害化 / 重金属 / 内分泌かく乱物質 / 促進酸化処理 / フェントン反応 / リン資源再利用 |
Research Abstract |
フェントン反応による下水消化汚泥中のノニルフェノール(以下、NPとする)と重金属の除去およびリンの不溶化について検討した。NPと重金属の除去では、フェントン反応に関与する過酸化水素と鉄イオン(Fe(II)あるいはFe(III))の添加量のモル比を10:1とし、汚泥のpHを2に調整した。鉄イオンとしてFe(II)を添加した場合では、NPの除去率は0%~約80%の範囲であり、試薬添加量の増加に伴い除去率が増加する傾向がみられた。しかしながら、過酸化水素とFe(II)の濃度が5g/Lと0.82g/Lよりも高い条件ではNPの除去率に有意な差はみられなかった。一方、Fe(III)を添加した場合では、NPの除去率は5%以下~約65%であり、過酸化水素とFe(III)の濃度が2g/Lと0.33g/Lよりも高い条件ではNPの除去率に有意な差はみられなかった。同様な条件において下水消化汚泥中の重金属の除去を検討した結果、過酸化水素5g/L以上では最大除去率を示し、NPと重金属を同時に除去できることが分かった。フェントン反応による下水消化汚泥中のリンの溶出特性を検討した結果、pH2.5の条件では鉄の添加量の増加に伴いリンの溶出率は低下し、過酸化水素と鉄イオン(1g/L)を添加した場合ではリンの溶出率を10%未満に低減できることが分かった。また、鉄イオンによって汚泥に保持されたリンの約80%は2%クエン酸可溶性であることが分かった。 以上の結果から、過酸化水素とFe(III)を添加した場合、リン溶出量が増加するが試薬添加量を低減でき、下水消化汚泥中のNPを効率的に除去できることが明らかになった。Fe(III)を添加した場合での過酸化水素とFe(III)の最適濃度は本実験条件ではそれぞれ2g/Lと0.33g/Lであった。
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