2009 Fiscal Year Annual Research Report
硝化微生物群集の解析による生物活性炭の硝化機構の解明と運用方法の最適化
Project/Area Number |
20760358
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
春日 郁朗 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 助教 (20431794)
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Keywords | 土木環境システム / 微生物 / 生物活性炭 / 硝化 / 高度浄水処理 |
Research Abstract |
生物活性炭を新規に導入した浄水場を対象として、アンモニア酸化微生物の定着過程を約一ヶ月間隔で1年間にわたってモニタリングした試料を分析した。本浄水場では、運転開始から10ヶ月間は着水井において前塩素処理が行われていたが、その後、前塩素処理は中止された。 前塩素処理中止前は、アンモニア酸化細菌、アンモニア酸化古細菌の双方とも検出されなかったのに対して、前塩素処理を中止することにより、アンモニア酸化古細菌のamoA遺伝子が106-107gene copies/g-dry程度検出され、アンモニア酸化古細菌が急速に定着したことが示された。前塩素処理がアンモニア酸化古細菌の定着を阻害していたことが推察される。一方、アンモニア酸化細菌のamoA遺伝子は前塩素処理中止後も定量下限以下であり、他の浄水場の生物活性炭試料と同様の傾向を示した。また、それぞれのサンプリング時のアンモニア酸化ポテンシャルを評価したところ、前塩素処理中止後にアンモニア酸化ポテンシャルが著しく高くなった。アンモニア酸化古細菌の定着の様子と併せて考えると、アンモニア酸化古細菌がアンモニア酸化に関与していることが示唆された。また、古細菌の16SrRNA遺伝子の解析を行ったところ、原水中にはアンモニア酸化古細菌をはじめとして、メタン生成菌などの複数の古細菌が含まれていたのに対して、前塩素処理中止後の生物活性炭上の古細菌群集はアンモニア酸化古細菌のみによって占められていることが明らかになった。このことは、アンモニア酸化古細菌の選択的な定着を意味しており、生物活性炭の生物学的処理メカニズムを考える上で貴重な知見となった。
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