2008 Fiscal Year Annual Research Report
懸濁物質の非球形性を考慮した沿岸域リモートセンシングアルゴリズムの開発
Project/Area Number |
20760359
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
小林 拓 University of Yamanashi, 大学院・医学工学総合研究部, 助教 (20313786)
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Keywords | 無機粒子 / 散乱特性 / 海面射出放射輝度 |
Research Abstract |
水中の懸濁物質の非球形性を考慮することで懸濁した沿岸域に適した植物プランクトンや土砂などの各懸濁物質濃度を衛星データから導出する水中アルゴリズムの開発を行うことを目的とし, 下記の3項目について研究を実施した. 1) 無機粒子やその凝集体の粒径分布および形状の測定 : 1〜1000μm程度の大きさの無機粒子やその凝集体の粒径分布と形状を定量的に測定するため, トーマの血球計算盤を用いて, デジタルカメラを接続した光学顕微鏡で懸濁物質の画像を取得する予定であったが, この方法では一回に測定できる試料水量が限られ, 多くの試料の測定を実施するには効率が悪い. そこでフローセルを用いて連続的に試料水を撮像し, 自動的に画像処理を行う装置を開発することとし, 試料水の導入装置, 画像処理プログラムの開発を行った. 2) 懸濁物質の光学特性の推定 : 無機粒子の散乱特性を推定する際, その粒径分布をモデル化する必要がある. これまでべき関数と対数正規分布を組み合わせた関数を用いていたが, 最小粒径の決定が大きく散乱特性に影響を与えていた. べき関数の代わりに一般化ガンマ関数を用いることで, 最小粒径の影響を少なくすることが可能となった. 3) 近赤外域を含めた水中光学モデルの評価のための海面反射率の測定 : 近赤外域の海面反射率の測定はその波長域での海面射出放射輝度が低いことから従来の方法では困難である. そこでTanaka et.al. (2006)の方法をもとに大きさを変えたカバーを取り付けた2本の放射輝度計により海面射出放射輝度の測定を実施した. 観測は有明海で実施した. 従来の方法よりよい測定結果が得られたが, 海面の条件が悪い場合は, データ処理が困難な場合もあった. 今後, より安定した測定を実施するためにカバーへ浮体を装着するなど, 改善が必要である.
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