2009 Fiscal Year Annual Research Report
塩素処理副生成物の前駆体としての溶存態有機窒素の化学的描像
Project/Area Number |
20760360
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
越後 信哉 Kyoto University, 地球環境学堂, 准教授 (70359777)
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Keywords | 消毒副生成物 / 溶存有機物 / 有機窒素 / 分画 / アミノ酸 |
Research Abstract |
まず,樹脂による溶存有機物の包括的分画手法を整備し,琵琶湖-淀川水系の水道原水を疎水性酸,疎水性中性,塩基性,親水性酸,親水性中性,両性の6画分に画分し特性解析を行なった。その結果,琵琶湖淀川水系では,上流よりも下流で疎水性画分の比率が高いこと,窒素を含む消毒副生成物やハロ酢酸の前駆体であると考えられている塩基性画分は10%程度であった。各画分を塩素処理した際の生成ポテンシャルに各画分のDOCの割合を乗じて,トリハロメタンおよびハロ酢酸の寄与率を比較した結果,トリハロメタンについては親水性酸画分が主で,ハロ酢酸については親水性酸および疎水性酸か区分が主要であった。一方で,塩基性画分は反応性は高いもののその寄与率は低かった。この傾向はN-ニトロソジメチルアミン(NDMA)についても同様でアンモニウムイオン存在下(すなわちクロラミン処理)での生成ポテンシャルは親水性酸で高く,疎水性画分で低いという結果になった。以上まとめるとこれら3種の消毒副生成物群についていずれの場合も,親水性酸の寄与が高く,フミン質に加えてイオン性の画分についても対応可能な処理プロセスを構築することでより高度に消毒副生成物を制御できる可能性を示した。あわせて,個別の遊離および結合アミノ酸についても調査を行った。琵琶湖-淀川水系では,遊離アミノ酸の濃度は低く,ほとんどが結合アミノ酸で存在しその総濃度は通常の原水で0.1mg/L程度であることを示した。また,突発的に窒素濃度が上昇する場合があり今後その原因について調査する必要があると考えられた。
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Research Products
(1 results)