2009 Fiscal Year Annual Research Report
幼児を対象とした環境汚染物質の神経毒性リスク評価方法の開発
Project/Area Number |
20760361
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中山 亜紀 Kyoto University, 工学研究科, 助教 (10335200)
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Keywords | heme oxygenase2 / PC12細胞 / 鉛 / 神経毒性 |
Research Abstract |
鉛は中枢神経系に有害で、精神遅滞や学習障害を引き起こすことが知られている。しかしながら、そのメカニズムは解明されておらず、リスク評価方法は未だ確立されていない。 培養神経細胞PC12に酢酸鉛を曝露し、そのタンパク質の発現変動解析を行ったところ、cytochrome b5、membrane associated progesterone receptor component 2、MORF4 family-associated protein 1、heme oxygenase 2、Ras related protein Rab-1Bが神経毒性マーカーとして有用である可能性が示唆された。 これらタンパク質のなかで、脳において発現量の多いheme oxygenase 2(HO-2)について、その発現量を調べた。HO-2は学習能力の低下などに関連するとされるタンパク質である。酢酸鉛0.5microM以上で発現量が減少することを確認した。 一方でPC12細胞の樹状突起の伸長量と酢酸鉛との用量反応関係を確認したところ、10microM以上20倍以上高い濃度でしか伸長量の減少を確認することができなかった。この結果は、神経突起の伸長量にHO-2が先んじて発現量を変化させている可能性が示唆される。 以上の結果から、HO-2は鉛の神経毒性の分子ターゲットであり、またこれを指標としてリスク評価できる可能性が示唆された。 現在、HO-2の詳細な用量反応関係の把握を行っている。また他のタンパク質についても解析を行っているところである。
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Research Products
(2 results)