Research Abstract |
本研究課題の大きな目標は,非確率論的な不確定性を仮定した構造系に対して,「モデル化法,解析,評価,設計」という一貫した方法論を提示することにある.不確定な構造系を扱う理論や数値手法としては様々な提案がなされているが,本研究の大きな特徴は,「任意の大きさのばらつき」を破綻なく扱える不確定性解析およびロバスト設計の理論と数値手法を開発することにある. 平成20年度は,以下に示すように,不確定性やロバスト性を扱う種々の概念・手法を収集・整理することで,研究目標に掲げる方法論を構築するための展望を与えた(後述の[学会発表]の1件目).次に,この展望を踏まえて,「任意の大きさのばらつき」に対する数値手法として,(1)外力および剛性の不確定性を考慮した構造物の静的な応答量の不確定性解析法,および,(2)不確定な外力に対する塑性崩壊荷重を考慮した構造物のロバスト最適設計法,を提案した. このうち,(1)の手法は,半正定値計画法と呼ばれる数理計画法に基づく手法であり,既往の手法と比べて,大きなばらつきに対しても応答量のばらつきを精度よく予測できること,静的な荷重を受ける一般の線形弾性構造物に適用可能であること,などの特長がある.また,(2)の手法ではインフォ・ギャップ理論に基づいて塑性崩壊荷重の最悪値によって構造物のロバスト性を評価しているが,ロバスト性の定量的な指標を線形計画問題を解くことで容易に得られることを示した点が,重要な貢献である.
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