2009 Fiscal Year Annual Research Report
地震リスク解析に基づく長寿命型空間構造の機能維持性能評価手法の提案
Project/Area Number |
20760371
|
Research Institution | Gifu National College of Technology |
Principal Investigator |
中澤 祥二 Toyohashi University of Technology, 工学部, 准教授 (70314094)
|
Keywords | 空間構造 / 地震リスク解析 / 長寿命構造 / 機能維持性能 / 性能設計 |
Research Abstract |
本研究の目的は,学校体育館(屋内運動場)や下部構造に制振ダンパーを有するドーム構造(長寿命型空間構造)などの空間構造を対象とし,地震リスク評価の考え方に基づく地震時の機能損失に伴う被害額の算定手法を提案する。本研究では,対象構造物に対する弾塑性地震応答解析を行い,損傷が生じ部材を分析し,構造物を構成する構成要素(構造体,非構造体,天井材など)を分類するとともに,構成要素の損傷状態,損傷状態を定めるための指標(損傷評価指標),およびそのクライテリアを既往の文献および応答解析結果より定めた。弾塑性応答解析結果に基づき,最大応答値の中央関係式(入力地震動の大きさを表す地震動指標と最大値応答の平均値の関係)を求め,構成要素の地震損傷度曲線(地震動指標と破壊確率の関係)を具体的に算定した。算定した地震損傷度曲線に基づき,イベントツリーを用いて対象構造物の地震ロス関数の算定方法,フォールトツリーを用いた構造物の機能が損なわれる確率(機能損失確率)の算定手法,機能損失に伴う期待損失額の算定方法を示した。また、地震リスク解析を効率的に行うための並列計算システムを構築した。提案した方法に基づき,鋼構造学校体育館(S1タイプ),下部第1層が鉄筋コンクリート構造の体育館(RS1bタイプ)および下部構造を有するドーム構造に対して,制振ダンパーの導入が空間構造の地震リスクの低減や機能維持に対して有効かどうかを定量的に示した。本研究で提案した方法を用いることにより,複数の耐震補強案の相互比較を定量的に行うことや機能損失に伴う被害額を考慮した空間構造の被害額を算定することができる。
|