2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20760374
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
向出 静司 大阪大学, 工学研究科, 助教 (20423204)
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Keywords | 鉄骨構造 / 制振ダンパー / 露出柱脚 |
Research Abstract |
本研究では,鋼構造建物の柱脚部に適用するために新たに考案された制振ダンパーを開発することを目的としており,本年度の研究においては,実験的な検討を中心に研究を行い,以下の結論を得た. (1)昨年度までのダンパー単体による載荷実験に基づいて,有効と判断されたダンパー鋼管部の2種類の形状を対象として,本年度,同ダンパーを適用した露出柱脚7試験体の載荷実験を実施した.この際,ダンパー形状に加えて,柱軸力やシアキーの有無を実験パラメータとして採用している.その結果,昨年度までに提案されていた解析モデルから想定されたような紡錘型の履歴特性を示し,安定したエネルギー吸収能力(変形性能)が得られることを確認している.また,ダンパーの形状や柱軸力の影響についても検討している. (2)上述(1)の通り,既に提案した解析モデルと実験結果が良い対応を示したので,これを用いて,低層鉄骨造骨組の地震応答解析を実施した.従来型のアンカーポルト先行降伏型の露出柱脚を用いた場合に,同部のエネルギー吸収が建物全体の1~2程度となるのに対し,本ダンパーを適用した場合,エネルギー吸収の割合を最大7割程度まで引き上げる(その分,柱梁の損傷が低減される)事例を確認した.なお,この解析例のエネルギー吸収量にであっても,ダンパーのエネルギー吸収能力が上回っていることを確認している. 以上のことから,本研究により本ダンパーの基本的な構造性能と,その有効性を確認することができた.実用化に向けては,実際の建物を想定して,様々な条件での追加実験が望まれる.
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