Research Abstract |
平成21年度は,6月に自然暴露大型RC柱とモニター試験体のひび割れ調査,写真撮影を行った。平成21年6月時点で暴露されているのは,RC柱試験体6体とモニター試験体6体である。暴露調査の結果,海側より陸側の柱表面にひび割れが多く,ひび割れ幅はNシリーズが大きかった。この調査結果より,L, N, FシリーズのRC柱試験体3体とモニター試験体3体,およびコンクリートシリンダーを琉球大学産学官連携推進機構大型実験室に運び込んだ。モニター試験体からコアを採取し,塩分浸透量を調べた結果,塩分浸透量は海側より陸側が多く,これは暴露RC柱試験体のひび割れ状況と同じ傾向だった。また,FシリーズよりNシリーズの塩分浸透量が大きい結果となった。 一定軸力比0.2の下でRC柱試験体の水平加力実験を行った結果,暴露RC柱は曲げ強度に到達し,最大耐力以降はAIJのせん断強度計算値に沿って耐力が低下するとともに,FシリーズはR=5%時点で柱軸ひずみが急激に進行し,せん断破壊の兆候を示した。Lシリーズでは,R=5%の加力中に柱頭の帯筋が3本破断し,せん断破壊した。Nシリーズは加力中にカバーコンクリートの剥落が非常に多い結果となった。累積エネルギー吸収量は,暴露していない基準試験体よりも暴露試験体の方が大きい結果であった。この原因については主筋付着の影響を考えており,現在も考察を進めている。 コンクリート強度と材齢の関係では,L, N, Fともに5年暴露のシリンダー強度が3年暴露とほぼ同じであり,フライアッシュ混入のFシリーズでも強度増進は落ち着いたと考えられる。 平成21年12月にも大型RC柱とモニター試験体のひび割れ調査を行った。Fシリーズのひび割れは,幅が1~2mmと大きくなっており,Nシリーズでは陸側のひび割れが大きくなっていた。Lシリーズには海側のひび割れが多いように思われた。なお,暴露によるひび割れは,主に主筋位置に生じていた。
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