Research Abstract |
実験としては, コンクリート充填角形鋼管柱(中空角形鋼管)-H形鋼梁試験体の設計と製作を行った.当初の計画では, 初年度, 次年度で2回に分けて試験体を製作するようにしていたがが, 全試験体が同一材料のほうが実験結果を比較しやすいため, 計画を変更し, 1年目は試験体の設計および製作を行うのみとした. 試験体数については, 全部で16体設計した. 内訳としては, スラブ付, 無しの試験体がそれぞれ8である. パラメータは, 柱の幅厚比, アスペクト比, スカラップの有無, スラブの有無, コンクリート充填の有無, である. 16体の試験体を計画したことで, 5つのパラメータで比較できるようになり, 実際の設計等で使用できる, 耐力評価, 塑性変形能力評価方法を提案するための非常に有効な結果が得られると期待できる. 解析として, コンクリート充填円形鋼管柱に取り付くH形鋼梁の塑性変形能力を, 「日本建築センター : 鉄骨梁端溶接接合部の脆性的破断防止ガイドライン・同解説」に示されている, 塑性変形能力評価式を準用し, 解析パラメータとして1)梁の降伏比, 2)アスペクト比, 3)柱・梁の材料強度, を選び, 計算した. その結果, (1)CFT柱、中空鋼管柱に取り付く場合について比較を行うと、最大相対塑性回転角の値は常にCFT柱に取り付く場合のほうが大きいこと, (2)降伏比、アスペクト比, 鋼管の径厚比が大きくなると、中空銅管柱の場合と比較して、CFT柱の場合では、最大相対塑性回転角の上昇率は大きくなることが明らかになった. これまで, 円形CFT柱塑性変形能力について研究された論文はなく, 中空柱の場合と比較してどの程度充填コンクリートの効果が期待できるのかは明らかになっていなかった. 今回行った解析により, 円形CFT柱に取り付く塑性変形能力に及ぼす充填コンクリートの効果を示すことができた.
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