2010 Fiscal Year Annual Research Report
木質材料による「剛」なコーナー要素の開発と究極の木質ラーメンの実現
Project/Area Number |
20760382
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Research Institution | Hokkaido Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
野田 康信 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 森林研究本部 林産試験場 性能部, 研究職員 (30446322)
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Keywords | 剛節 / 剛性 / 木質ラーメン構造 / 圧縮木材 / 圧密 / 柱梁接合 / 接着接合 / ラジアルストレス |
Research Abstract |
平成22年度は実大の門形フレームの構築に必要となるL字形部材と柱や梁との継手方法として、前年度の継手候補に加え、木ダボ接合による方法を検討した。直径12mmの木ダボ(ハードメイプル)1本による樹脂含浸単板積層材からの引き抜き試験では、カラマツ集成材からの引き抜き性能に比べ、すべり係数で劣ったが、耐力は同等であった。この実験値を用いて、120x300mmの断面に適用した場合の継手性能について試算したところ、強度接合効率はカラマツ集成材(E105-F300)の曲げ耐力に対して76%が得られることが導けた。 この試算結果を受け、木ダボ接合を採用したL字形部材による門形フレームを製造し、実大の門形フレーム試験を実施した。門形フレームは通常の在来軸組構法に組み込むことを想定して柱脚をピン接合(短ほぞ+ホールダウン金物)として設計した。L字形部材は断面120×300mm、パネルゾーン300×300mm、両翼長さ860mmのものを用い、これに柱と梁を木ダボ接合して、高さ3m、スパン4mの実大門形フレームを構築した。試験は耐力壁の試験方法を準用した正負交番の繰り返し荷重とし、その水平荷重に対する変形を測定した。結果、架構全体の水平せん断性能は部材のたわみによるものが支配的であり、L字形部材のパネルゾーンの変形は、開く方向、閉じる方向ともに無視できることが確認できた。破壊性状はL字形部材の付け根における曲げ破壊であり、その最大荷重は部材の曲げ強度による推定値に同等であった。以上より、この木質フレームは剛節であることによって構造計算が大幅に単純化でき、部材の曲げ強度で耐力も計算できることが実証できた。今後はこの剛節かつ高強度を有する接合方法を用いて、L字形に留まらずT字形、十字形の部材を活用した新たな木質構造の発展が期待できる。
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Research Products
(4 results)