2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20760384
|
Research Institution | Building Research Institute |
Principal Investigator |
新井 洋 Building Research Institute, 構造研究グループ, 主任研究員 (40302947)
|
Keywords | 交通振動 / 無線LAN / 表面波 / 逆解析 / 表層地盤 / S波速度構造 / 減衰定数 / 地震動増幅特性 |
Research Abstract |
建物の地震防災を行う上で,表層地盤のS波速度構造と減衰定数を簡便に評価する手法を確立することが必須である.そこで本研究では,無線1点3成分計測解析システムを開発し,振動源が既知の地点における交通振動計測に基づいて,その鉛直および水平面内の粒子軌跡(楕円率および軸傾斜角)の位置的変化を周波数領域で抽出し,弾性波動論に基づく逆解析から表層地盤特性(S波速度構造および減衰定数)を同定する手法を提案し,その有効性と適用限界を複数地点での振動計測から検証し,さらに表層地盤の地震動増幅特性評価への応用の可能性を検討することを目的とする.具体的には,以下の検討を行う.(1)交通振動の鉛直および水平面内の楕円率と軸傾斜角の位置的変化を求める無線1点3成分計測解析システムの開発,(2)地表点加振源から発生する波動場の鉛直および水平面内の粒子軌跡(楕円率および軸傾斜角)の位置的変化から地盤のS波速度構造と減衰定数を同時に同定する逆解析手法の開発,(3)現場実験に基づく交通振動の鉛直および水平面内の楕円率の軸傾斜角の位置的変化の評価,(4)種々の地盤における表層S波速度構造および減衰定数の推定,(5)表層地盤の地震動増幅特性評価の応用への可能性の検討.平成21年度は,昨年度に整備した振動計測システムを用いて,沖積地盤上の数地点において提案手法による現場実験(検討(3),(4),および(5))を実施した.ただし,当初考えていたほど,実験データ(地表粒子軌跡の楕円率および軸傾斜角)の表層地盤のS波・減衰構造(とくに減衰)に対する感度が良くないことが分かった.このため,提案手法は,微動・表面波探査法における解の信頼性を高める補助手段として活用することが有効と考えられる.
|