2008 Fiscal Year Annual Research Report
滞在者の環境適応を考慮した温熱環境調整手法に関する研究
Project/Area Number |
20760395
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
中野 淳太 Tokai University, 工学部, 講師 (30350482)
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Keywords | 熱的快適性 / 温熱環境 / 環境適応 / 駅 / 実測調査 / 環境計画 / パッシブ / 不満足率 |
Research Abstract |
これまでの研究結果より、駅利用者の温熱環境に対する非許容者率を20%以下に抑えるには、構内SET*を32℃以下にする必要があることがわかった。通常の室内滞在者よりも広い許容範囲は、駅が空調されていない状態を受け入れるという駅利用者の心理的適応の効果だと考えられる。既往調査駅では、夏季の午後から夜間にかけてSET*32℃を超える事例が多く見られたが、空調に頼らずSET*を改善するには、通風の確保が有効である。そこで、今年度は通風計画が考慮された新築駅舎及び改修駅舎の実測調査を行い、その通風特性及び温熱環境について2008年9月上旬から10月上旬にかけて実測調査を行った。調査前に改修を終えたばかりのTb駅は都内にある堀割駅で、改札外・改札内コンコース・ホームが線路に沿った直線上に配され、短く単純な通風経路となるよう変更された。測定結果より、Tb駅舎は軌道に沿った屋外風を構内に取り込みやすく、屋外風向と構内風向はほぼ一致することがわかった。構内の平均風速は0.59m/sと大きく、実測期間中最も暑かった日(外気温30.6℃)においても内外温度差は±1℃以内に抑えられていた。しかし、夕方になると人体発熱などの内部発熱の影響のため、内外温度差は2℃程度まで上昇していた。2008年3月に山梨県で開通したR駅は平地に建つ橋上駅であったが、南北に走る直線上の自由通路の両端から東西に階段が折れて配され、Z型形状をしていた。天井高は平均6mと高く、自由通路全面にガラスが用いられていた。構内気温は日射の影響を受けやすかったものの、外気温との温度差は比較的小さかった。これは階段出口から自由通路までの高い天井高と、屋外風向を妨げずに自由通路に風を導く駅形状により、平均気流速度0.4m/sの通風が確保されていたためであった。建築的手法による温熱環境調整の有効性が確認された。
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